FRAJとは日本食品サンプル普及協会
Food Replica Association Japan
日本食品サンプル普及協会(Food Replica Association Japan)の頭文字をとってエフ・アール・エー・ジェイと呼んでいます。当協会は日本特有の文化である食品サンプルへの理解と関心を高め普及すると共に、食品サンプルの将来の展望を開拓することを目的として活動しています。今や日本の文化として海外でも徐々に浸透しており、その制作技術は「モノづくり」大国日本の誇るべき職人技術です。そんな素晴らしい技術が今、危機に瀕しています。一人でも多くの方に学んで頂き、後世に伝えたいと考えています。
食品サンプルとは
食品サンプルは「食品模型」「料理見本」とも呼ばれています。
飲食店の店頭もしくは店内にディスプレイされる料理の模倣した造形物です。
料理と同じ大きさで視覚的にもリアルに細部まで説明することが可能です。
食品サンプルの側に商品名や価格を提示することによってメニューの役割を果たし、お客様へどんな料理がどのくらいの量でどんな食材が入っているかを見るだけで伝えることが出来るため、近年訪日外国人向け飲食店や海外でも需要が高まってきています。
同じ料理であっても店により形や食材、盛りつけが異なる為、食品サンプルの職人は1点から作ることができる技術を習得しています。
食品サンプルの歴史
食品サンプルは歴史的には日本の大阪でビジネス化され、100年くらいといわれていますが、その素材は40年ほど前までは蝋や寒天といった自然のモノを使用して作られていました。
しかし、当時先進国となったばかりの日本では電化製品が発達したことにより、徐々にスポットライトが仕込まれたショーケースが次々と飲食店に導入される事になるのです。その為、ショーケースの中は高温となり、中の食品サンプルが溶け出してしまうという危機的状況に。そこで、各食品サンプル会社は独自に樹脂を用いた作り方を研究し現在の塩化ビニール、シリコン、レジンなどの化学樹脂を使用した溶けない、耐久性の高いものへ発展させたのです。
今尚、食品サンプルがあることは職人たちの努力によるものが大きく、もし諦めていたら皆様が見ている今の食品サンプルは歴史上消えていたかもしれません。一度消えた文化を復興させるのはとても難しい作業です。それは記憶をたどることから始めなければならないからです。
食品サンプルは今、危機に直面しています。
1.日本政府に認められていない
それは日本国が昭和49年に定めた伝統的工芸品産業の振興に関する法律の中に「伝統的に使用されてきた原材料が主たる原材料として用いられ、製造されるものであること。」という一文がある為、伝統工芸になることは今のところ不可能です。ほとんどの食品サンプルは自然の材料を今は使用していません。化学樹脂を使用したものがほとんどです。その為、伝統工芸となることは日本人のほとんどがその文化を知っているにも関わらずなることはかないません。しかし、今、世界中に食品サンプルは広がりを見せており、中国、韓国、台湾、香港、タイにはすでに現地の法人による食品サンプルの製造販売がおこなわれています。今のままだと食品サンプルを日本の文化というのは難しくなる日も遠くありません。
2.高齢化による職人不足
食品サンプルは今でこそたくさんの職人の努力により、キーホルダーやアクセサリーに加工し一般にも普及されてきましたが、今から10年位前までは業務用がほとんどで、雑貨にすることはあまりされていませんでした。更に、印刷技術の向上により安価にポスターやチラシが印刷できるようになったため、どうしても厚みがあり、金額的にも高価な食品サンプルは看板としての需要が少なくなっていました。そのため生産量は落ち込み、食品サンプルを家業とする多くの工場では、次世代を育成することが困難となりました。そのため現在35歳から45歳くらいの働き盛りの職人が極端に少ないのはそのためです。現在の働き手の多くは50代後半から70代が多くなっています。
3.材料、送料の高騰
食品サンプルの原料のほとんどは石油系となります。そのため、オイルの価格高騰に影響をを受けます。しかし、今だ蝋で製造していると思っている人が60%くらいおられるのが現状です。蝋で作っていると考えている人と、化学樹脂を使用していると知っている人との価格価値は雲泥の差を生みます。それは販売する側にとって大きな障害となるでしょう。そして樹脂は見た目より重いのです。送料は年々高くなっており今後死活問題となってくるでしょう。